東洋額装では、職人一人一人が技術への強いこだわりを持ち、作品に向き合っています。
丸表具で言えば、各部位に裁断した裂でも柄をきっちり揃える「柄合わせ」、裂裏打ちでのタテ糸・ヨコ糸の糸目を揃える裏打ちの技術力があるからこそ実現できる表現です。
また、裂地は豊富な素材・色彩・紋様を取り揃え、伝統的な形式から創作表具まで、ご要望に応じ作品をお仕立ていたします。
当社の掛軸は、和紙と糊を使用した伝統的な【本表装】の技法を用いています。
※通常の床の間に飾られる場合は、200cm以内に仕上げています。
裂決め
お客様の要望に沿うように作品の内容や本紙の色などに合わせて型式や裂の種類・色合いを決めていきます。
本紙裏打
作品の汚れなどをチェックした後、水を噴霧、シワを伸ばし、薄美濃紙に糊をつけ作品の裏打ちをします。
裂裏打
各部位の裂も作品と同様に裏打ちをします。縦横ともにきれいに柄のラインを揃えて裏打ちをします
組立
裏打ちの終わった作品に各部位の裂を裁断し、継ぎ合わせます。
柄合わせ
裂のつなぎ部分の柄が一枚の裂に見えるよう、柄を合わせます。
中裏(増裏)
組立てた掛軸を光の透け防止や補強、固さの調節のために美栖紙で裏打ちをします。(増裏…組立前の各部位ごとに調整します。)
耳折
中裏後、掛軸の両端を耳折します。耳折は両サイドの保護と、折り曲げて厚みを出すことで、巻いたときの作品の擦れ防止です。
総裏
軸袋(軸棒・半月を付ける場所)を付け上巻絹と宇陀紙で総仕上げの裏打ちをします。最後に軸棒の付け根の補強の軸助けを貼ります。
仕上
完全に乾燥した掛軸に軸棒と半月を付け、掛紐・巻き紐を付けます。
風帯がある場合は釻(金具)を付ける前に縫い付けます。
丸表具
天地、柱を同じ裂で囲む表具で、作品の上下に一文字が付く形式です。中国から伝来した表具形態で文人表具とも呼ばれ、あらゆる書・画に調和する形式です。当社では一文字を付ける表具を「丸表具」、一文字の付かない表具を「袋表具」としておりますが、表具屋によって「袋表具」と「丸表具」が逆の場合が有りますのでご注意ください。
一般的に本紙の丈の長いものには、このような形式が施されます。本紙の丈が長いものに三段大和表具を施すと、総丈が長くなりすぎて床の間に掛けられなくなることがあるためです。
三段大和表具
作品から一文字、中廻し、天地の順に三種類の裂地を使っていることからこう呼びます。基本的に風帯が付きますが一文字と同じ裂地を使用します。また、柱の部分が7分(約21㎜)、5分(約15㎜)、3分(約9㎜)と細くしたものを「輪補(りんぽ)」または「茶掛け」と呼びます。
ただし、最近では小さい作品のことを茶掛けと呼ぶ方も多いので注意しています。本紙の丈が長いものに三段大和表具を施すと、総丈が長くなりすぎて床の間に掛けられなくなることがあるためご注意ください。
仏表具
大和表具の中で最も格式の高い表具形態です。
一般に仏仕立てと呼ばれている形式で仏教に関わる書画の表装に用いられます。それも観賞用ではなく、礼拝や儀式のための本紙にふさわしい重厚な表具で、真の真・真の行・真の草の形式があります。
本金欄・合金襴・準金襴などを始め、無金の牡丹柄・蜀江柄などの裂があります。 各宗派の紋様もございますので、 ご注文の際に問い合わせください。
折帖
書物の装丁形式の一つで、折本装です。巻子本を開いたり読んだりしやすいように、一定の幅で縦に折りたたんで蛇腹状に広がるようにし、表と裏に厚手の表表紙と裏表紙をつけたものを折本と言います。名筆の鑑賞や筆者の鑑定のために、経巻や歌書、消息などの断簡を厚手の台紙に一定の順序で貼り折帖とした手鏡が始まりと考えられています。
この商品を見る巻子(巻物)
書や絵画を横長に表装し、軸に巻き取る形に仕立てたものを巻子装と言います。また巻軸・巻文・軸物ともいい、中国南北朝時代に成立した画巻の形式が飛鳥時代に我が国に伝わったもので「巻物」は日本での名称です。日本の表具は仏教とともに伝わった経巻を擬製することによって始まり、巻物は日本の表具の起源であると言われています。
この商品を見る佐藤 茂幸
栗本 忍
畠山 卓也